社員の“ありのまま”を武器にする。ツルハが動画中心の採用サイトに刷新した理由
株式会社ツルハ × リクライブ編集長二宮
2026年03月12日
ドラッグストアチェーンのツルハドラッグで採用を担当する穴井さん・森さん・山元さんに、リクライブ編集長の二宮がインタビュー。
採用サイトのリニューアル(新卒・キャリア・アルバイト/パート)を約2年かけて進めた背景から、公開後の変化、制作プロセス、そして今後の課題までを振り返りました。
| 社名 | 株式会社ツルハ(ツルハドラッグ) |
|---|---|
| 契約プラン | 採用動画制作/採用サイト制作・運営 |
| 地域 | 北海道・東北・関東・関西、海外に2,000店舗以上展開 |
| 業界 | ドラッグストア・小売 |
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クライアント課題
大企業なのに魅力が伝わらない採用サイト
- ・採用サイトの情報が古く、今の実態や魅力が反映できていなかった
- ・学生や求職者から「ホームページを見ました」という反応が少なく、採用への効果が見えにくかった
- ・規模の大企業なのに、サイト上で情報をうまく発信できておらず、理解促進につながっていない感覚があった
- ・限られた接点(説明会や面接)だけでは、業務内容や雰囲気、人の魅力を十分に伝えきれない課題があった
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ミッション
リアルな社風を伝え応募につなげる採用サイトへ
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プロセス
新卒採用サイトを先に制作し、公開後にキャリア採用、アルバイト/パート採用へ展開した。
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新卒採用サイトのリニューアル(2025年2月公開)
https://tsuruha-recruit.jp/⚪︎ヒアリング・リサーチ:3ヶ月間(2024年9月〜11月ごろ)
採用サイトに載せるべき情報や、取材対象を「想像」で決めずに、社員アンケートを実施(450名、最終500名規模)。アンケート結果から、入社理と、入社後の評価のギャップを整理
⚪︎デザイン、構成、コンテンツ制作:3ヶ月間(2024年12月〜2025年2月ごろ)
伝えにくい“人”や“雰囲気”を中心に、密着動画、社員インタビュー(10名以上)など動画コンテンツを主軸に設計。採用担当側も制作を通じて社内理解を深め、説明会資料の作り直しなど、採用活動全体の情報整備にも波及。 -
キャリア採用コンテンツの追加(2025年9月公開)
⚪︎ヒアリング・リサーチ:3ヶ月間(2025年5月〜8月ごろ)
⚪︎デザイン、構成、コンテンツ制作:2ヶ月間(2025年8月〜9月ごろ)
実際に中途入社した社員インタビューを実施。転職時に必要だった情報を再設計し原稿と構成を作成。キャリア採用社員の対談動画「キャリア採用クロストーク」をフックに2万字以上の原稿でデザインに落とし込んだ。 -
アルバイト、パート採用コンテンツの追加(2026年2月公開)
⚪︎ヒアリング・リサーチ:3ヶ月間(2025年10月〜12月ごろ)
⚪︎デザイン、構成、コンテンツ制作:2ヶ月間(2026年1月〜2月ごろ)
ツルハで働くアルバイト・HB社員800名にアンケートを実施し、そこから見えてきたツルハで働くことの言語化を図った。また、アルバイトから正社員になった社員にインタビューを実施。ツルハ自身が気がついていない魅力を発見し、訴求ワードも多く拾うことができた。
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成果
- ・説明会での理解度が上がり、学生が事前に企業理解を深めたうえで質問する姿勢が見られるようになった。面接で動画出演者の名前が出るなど、コンテンツが事前理解に使われている実感が出た
- ・学生からの反応は大きく変化。「動画見ました」「スーパーバイザーってあんな仕事してるんですね」といった声が多く聞かれるようになった。内定者アンケート等でも「採用サイトを見た」という回答が一定数あり、反応が確認できた。
- ・薬局見学などオフライン接点でも「映っていた店舗ですか?」など会話が生まれ、理解が深まる導線になった。
- ・採用担当の情報提供が定型化し「この質問にはこの動画」と案内しやすくなった
- ・採用公式LINEでサイト内動画を定期配信する運用が始まり、視聴数の確認やイベント予約などの反応も出た。
- ・社内向けにも、アルバイトからのキャリア事例などが「働き続けた先の道」を示すコンテンツになり、ブランディング効果も期待できる。
- ・一方で、数値での大幅改善は「これから」で、効果検証と改善、さらにSNSなど“攻めの発信”が次の課題として明確になった。
以前の採用活動で感じていたことは「採用サイトの古さ」
- 採用サイトをリニューアルする前って、社内的にどんな状況でしたか?なぜ当時、リニューアルが必要だったのかを振り返りたいです。
- 穴井:一番は情報が古かったことですね。今っぽいというか、キャッチーなホームページに仕上げたいという話があって、予算も含めて「今年(2024年)は絶対に作り替える」と決めていました。
- 古い以外だと、どんな課題感がありました?
- 穴井:採用活動の中で、採用サイトの効果をあまり感じられていなかったんです。学生から「ホームページ見ました」って言われることも少なくて、情報発信がうまくできていないという課題感はグループ内でも上がっていました。
リニューアル前のツルハドラッグ採用サイト。新卒、中途、アルバイトという区分に加え、募集職種が2つに大きくわかれていることもあり、わかりやすさが重視されていた分、情報量に課題を感じていた。
- 採用サイトに期待していた効果って、どんなところですか?
- 穴井:業務理解とか、会社理解を深めてもらうことですね。(採用活動の中で)学生も中途の方もアルバイトの方も、1人にかけられる時間には限りがあるので、ホームページから雰囲気まで伝わる状態にしたいと思っていました。
- なるほど。依頼のきっかけとしては、TGN(以前リクライブで採用サイトを手がけたツルハのグループ会社である「株式会社ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本」)さんの事例が大きかったですよね。
- 穴井:そうですね。同じ事業会社のTGNさんで「いいホームページができた」と聞いて、紹介いただいたのが始まりでした。
- 実際見た時の印象って、どんな感じでした?
- 穴井:若手社員のインタビュー動画などがあって率直に「いいな」と思いました。動いていたメンバーとも「いいですね」って話したのを覚えています。
新卒採用サイト(2025年2月公開)。入社5年以内の社員を中心に450名以上へアンケートを実施し、入社理由と入社後に感じた魅力のギャップを分析。社員インタビューや1日密着動画など、“人”や“雰囲気”が伝わるコンテンツを中心に構成を再設計し、ツルハで働くイメージが具体的に伝わる採用サイトへリニューアルした。
採用サイト制作後の変化、実際の成果
- 2025年2月に新卒向けサイトを公開して、ちょうど1年くらい経ちました。採用担当の皆さんの実感として、何か変化はありましたか?
- 穴井:明確な数字で大幅に増えた、というのは正直これからかなと思っています。でも「ホームページ見ました」って声が圧倒的に増えました。スーパーバイザーの動画を見ました、という反応もあって、嬉しいですね。
- 山元さん、総合職、東北側の実感はどうですか?
- 山元:採用強化の中で、先輩社員の動画を見て、動画に出ている社員の名前を面接で出してくれた新卒の方がいたりして、反応は感じています。
内定者アンケートでも、参考にしたコンテンツとして採用サイトを挙げる回答がしっかりあって、ちゃんとリアクションはあったのかなと。 - 森さんは薬剤師の採用担当ですよね。そちらはどうでしたか?
- 山元:私は札幌拠点で、学生を連れて薬局見学ツアーをするんですけど、「これ、映ってた店舗ですか?」って話が出たりして。見学に来る前に事前に動画を見てくれたんだな、って分かる瞬間がありました。動画で見たものを実際に見て「書いてあることは本当だった」と理解が深まる体験になっている感覚があります。
- 採用活動全体で、動き方が変わった部分ってあります?例えば説明の仕方とか。
- 山元:学生さんからの質問って同じようなものが多いんですけど、採用ホームページに伝えたい情報がギュッと集約できたので、この質問が来たらこの動画、このコーナーを見ておいてね、みたいに定型化できました。情報提供の方法が変わったのは大きいです。
- 森:あと、採用の公式LINEは登録してもらっていたんですけど、以前はあまり配信していなかったんです。採用ホームページができてから、月1回くらい動画を配信して、しばらく会ってない学生にも定期的にツルハを思い出してもらう使い方ができるようになりました。視聴数も確認できて、イベント配信の次の日に予約が入っていたりすると、刺さってるのかなという感覚もありました。
採用サイトリニューアルのプロセスを振り返って
- リニューアルのプロジェクトが始まる一番最初に、直近5年ほど入社された社員を中心に社内アンケートを実施して進めましたよね。結果的に500名くらいまで回答をいただきました。
- 穴井:アンケートを取れたのはすごく良かったです。結果をもとに説明会資料を作り直したりもしました。
ツルハ採用サイトリニューアルにおける社内アンケート内容
- ・最初にツルハを知ったきっかけ
- ・最初に知ったときの率直な第一印象
- ・応募しようと思った理由
- ・他候補の企業があった場合、その会社のどこが良かったのか
- ・最終的にツルハに入社を決めた理由
- ・入社するまで気づかなかった会社の魅力
- ・転職/就職活動中に特に知りたかった情報
アンケート実施期間:2024年8月30日〜9月3日/回答数:450件/アンケート対象者:2022年〜2024年入社ツルハ社員/回答方法:Googleフォーム
- 上記のようにアンケートでは、入社理由は「給与待遇・知名度・事業の安定性」が多かった一方で、入社して良かったところは「人柄、教育研修、社風の良さ」みたいな声が多かったんですよね。だから、社風が見える密着動画を出したり、キャリアパスや研修の情報を厚くしたり、本音が見たいという声に応えて10名以上の社員インタビューを入れる企画を考えました。
- 穴井:人柄って口頭で伝えるのが難しいんですよね。動画で、スーパーバイザーの1日を撮り直しなしでリアルタイムに撮ってもらったのは、これ以上伝えられないくらい業務内容も人柄も出たと思います。興味を持ってもらえるツールになった感覚はあります。
- 山元:私も、先行過程で会える社内の人間って限られる中で、その不足を補うコンテンツとしてすごく良いと思いました。あと、社内アンケートの情報の整理やまとめも、そのまま説明会で活用できたので副次的な効果も大きかったです。
- リクライブの進め方はどうでしたか?
- 山元:ホームページを1から作るのが初めてで、あれも入れたい、これも必要、となりがちなところを、目的意識をぶらさずにコントロールしながら先導してもらった感覚が強いです。学生さんにとって何が一番分かりやすいかを考えるのは本当に難しかったので、そこを支えてもらいました。
- 森:動画の撮影でいうと、リアルを追求する努力がすごいなって思っていました。自分たちでお願いして撮ると、どうしても取り繕っちゃうんですけど、リクライブさんと撮ると、皆さんありのままの姿が出ていて。雰囲気を動画で伝えられたのはお願いしたからこそだなと感じました。
新卒採用ページを公開後、キャリア採用・アルバイト採用ページも追加。
- 新卒の次に、キャリア、アルバイト/パートと続けて作りました。キャリア採用の狙いって、改めてどこでした?
- 穴井:有資格者のキャリア採用が多くて、紹介会社経由が基本でした。でも費用も安くないので、ホームページを強化して直接つながる導線を増やしたい。求職者にも業務理解を深めたうえで選考に来てもらえれば、という狙いでした。
キャリア採用ページ(2025年9月公開)。実際に中途入社した社員インタビューを実施。転職時に必要だった情報を再設計し原稿と構成を作成。キャリア採用社員の対談動画「キャリア採用クロストーク」をフックに2万字以上の原稿でデザインに落とし込んだ。
- キャリア採用はミスマッチが起きやすい、というデータもありますよね。その点、コンテンツの手応えはどうですか?
- 穴井:業務内容や異業種からの転職者インタビューを載せているので、立場が近い人が共感できる内容になっていると思います。見た方には何か刺さるものがあるんじゃないかな、と。
- 山元さんは実際にツルハに転職した身として、出演していただきましたね。
- 山元:緊張はしましたけど、自分が転職するときに欲しかった情報は何か、という視点で参加していました。キャリア観点だけじゃなくライフプランにも関わるので、欲しい情報が得られるサイトに近づけた感覚はあります。
- キャリアページでは、年収アップやキャリアアップみたいな、普段は載せにくいワードもあえて出しました。判断としてはどうでした?
- 穴井:年収やキャリアパスの話はリアルだったので隠す必要はないと思いました。求職者が知りたいことにフォーカスできたと思います。
アルバイト、パート採用ページの追加(2026年2月公開)。ツルハで働くアルバイト・HB社員800名にアンケートを実施し、そこから見えてきたツルハで働くことの言語化を図った。また、アルバイトから正社員になった社員にインタビューを実施。ツルハ自身が気がついていない魅力を発見し、訴求ワードも多く拾うことができた。
- アルバイト・パートのページも、つい最近公開(2026年1月)しました。ここにはどんな思いがありますか?
- 穴井:アルバイトから社員登用ができるのはうちの良いところです。高校生で入って、ロングパートから正社員、店長になる人もいます。アルバイトから始まって資格を取って社員になる、別の道を目指せる母体がある。そういう例を打ち出せたのは大きいです。
- 山元:外に見せるだけじゃなくて、社内の人にも道しるべになる内容だと思います。ツルハで頑張ればこういう道が見える、って分かりやすい。
- 森:私も入社して、アルバイト出身で(社員に)応募してくる割合が少ないなと感じていました。ホームページが整っていること自体が、アルバイトにも気を使って体制を整えているというブランディングにもつながると思います。数字に直結しない効果も、これからじわじわ出てくるんじゃないかなと。
既存社員が見ても違和感がない “ツルハっぽさ” を表現。
- 従業員数が多い会社だからこそ、リニューアルの打ち合わせ当初から社員が見て違和感のない情報設計を大事にしてきましたよね。
- 穴井:応募者とのミスマッチを防ぐのが重要で、そのために業務の解像度や社風が見えることが大事です。完成したものを見ると、みんなツルハの社員だなと思える内容になっていて、“ツルハっぽさ”が出たと思います。
- 山元:私自身、(採用サイトリニューアルに)関わりながら“ツルハっぽさ”を学んでいきました。社内の人にも自信を持って見てほしいと言えるサイトになった感覚があります。
- 森:職種が違っても“ツルハっぽさ”はある、と動画の撮影を通じて感じました。私が薬剤師側の採用担当ですが、総合職で働かれている方とも接して「同じ志を持った人たちの集まりなんだ」とより実感できましたし、ツルハ全体を知れるというコンセプトをぶらさずに終えられたと思います。
公開後に見えてきた新たな価値
- 最後に、公開後に感じた課題や、これから直していきたいことはありますか?
- 穴井:いいものは作った側が決めるんじゃなく、見た人の評価で決まると思っています。応募数が増えて、一歩踏み出してくれる人が増えるのがゴールです。採用サイトが、ドラッグストアの雰囲気や仕事を社会に発信できるツールになればいいなと。
- 山元:効果検証は、もう少し社内でちゃんとやるべきだと思っています。どこに影響があって、力を入れたところが影響していない可能性も含めて、見ながらブラッシュアップを続けたいです。
- 穴井:採用サイトは受けの媒体なので、求職者が調べて来ないとたどり着けない面があります。これからはSNSでこちらから知ってもらう施策も必要だと思っています。土台ができたので、今度は発信を成長させていきたいです。
- 受けの土台を作った次のステップとして、デジタルもアナログも少しずつ、人の目に触れる場所を増やしていく。その1年にしていければと思います。今日はありがとうございました。
「実は、ずっと聞きたかった話」
採用動画、ポッドキャスト、採用サイトなどを共に制作してきた企業に対し、「実際どうだったのか」「正直なところ、何が変わったのか」をあらためて問い直すインタビュー企画。
制作の裏側、言語化されなかった違和感、決断の瞬間。
表に出てこなかった“思考のログ”を、そのまま残していく記事シリーズです。