MENU

「ポッドキャストは、信頼をじわじわ育てるメディアだった」坂本会計がクライアントの関係を強化するために始めた広報戦略

2026年10月01日

編集長二宮
株式会社 坂本会計
株式会社 坂本会計

坂本会計のポッドキャスト「経営コンパス」は、スタートから約1年。再生数やフォロワー数の伸びだけでなく、既存顧客との関係性、サービス理解、言語化の力まで、さまざまな変化が生まれていました。今回は、リクライブ二宮と坂本会計の呉屋さんで、ポッドキャストを始めて得た経験や成果について振り返ります。

社名 株式会社 坂本会計
地域 千葉県
業界 税理士法人
  • 呉屋さん(株式会社坂本会計 代表取締役)

    呉屋さん

    株式会社坂本会計 代表取締役/税理士法人坂本会計 業務統括リーダー
    2006年入社。経営コンパスの事業責任者として、経営計画の策定と運用を支援し、目標達成できる経営体質づくりへ導くためのサービス「経営コンパス」を提供している。中小企業の経営支援では「千葉で一番!」と言われる会計事務所を目指し、日々、邁進中。

  • 二宮(リクライブ編集長)

    二宮(リクライブ編集長)

    1991年、福島県生まれ。インタビュアー、デザイナー、ポッドキャスター、コンテンツプロデューサー。リクライブで制作しているほとんど全ての動画やポッドキャストのインタビュアーを行い、これまでコンテンツ数は5,000を超える。

ポッドキャストを本気で半年やってみた手応え

  • ポッドキャストを始めて約1年ほど経ちましたね。かなり伸びてきている印象ですが、手応えはいかがですか?
  • 再生数も伸びてきていますし、順調にフォロワー数も増えてきています。特に僕が嬉しいなと思っているのは、既存のお客様にしっかり聴いていただけていることですね。
  • 既存のお客様に届いている実感があるんですね。
  • ありますね。もちろん最初は新しいから「何々?」って聴かれることはあると思うんですけど、その後も継続して聴いてもらえるかどうかは別の話だと思うんです。
  • 目新しい価値がそこに付与できなければ、だんだん聴いてくれる方が減っちゃうかもしれないなっていう危惧はありました。
  • 再生数はどうですか?
  • Spotifyの方が特に伸びています。最近の配信がしっかり聴かれているので、継続的に価値を感じてもらえているのかなと思っています。
  • 一般的には過去回が伸びることが多い中で、最新回が聴かれているのって、いい傾向ですよね。
  • そうですね。発信に対してリアクションがあるっていうのは、これまであまり感じたことがなかったので、新鮮だなって思ってます。
  • これまでもサービスだったら成約をするとか、採用だったら実際に採用できるとか、数字の結果としては成果は出ていたんですけど、視聴者数のような「どれくらい見られているのか」とか、直接的な反応って見えにくかったんですよね。
  • あと、二宮さんたちと一緒にやれている安心感も大きいですね。一緒に進んでいきながら、その過程をそのまま発信してる感覚があって。
  • 完成された話をするっていうより、今考えていることとか、悩んでいることをそのまま出していく感じですよね。
  • 最初は、僕の中で答えが出ているものをテーマに話してたんですけど、なんかライブ感がないなと思って。どうせだったら、今出ているホットな話題だったり、自分たちが悩んでいることも含めて、ありのままを切り出した方がいいんじゃないかなと今は思ってます。
  • テーマの決め方も変わってきましたよね。あえて曖昧にしたり、その場で広げたり。
  • そうですね。最初は整理して話そうとしてたんですけど、逆にそれだと話がまとまりすぎちゃって。今は、話しながら考えを整理していく方が、結果的に面白くなる気がしてます。
株式会社坂本会計 呉屋さんと二宮の対談の様子1

採用から広がった広報活動とポッドキャストの存在感

  • 振り返ると、リクライブと採用活動を最初に始める前は、いろいろ試行錯誤していましたよね。ホームページを変えたいとか、採用動画をやりたいとか。
  • 最初は採用をきっかけにお付き合いが始まったと思います。二宮さんのセミナーで、採用戦略の話を聞いた時、「企業側が伝えたいことと、受け手が知りたいことって、必ずしも一致していない」ことに気付かされました。「これまで自分にはなかった視点だ!」と。発信のやり方を変えれば、もっと届き方が変わるんじゃないかと思いました。
  • なるほど。
  • 実際に採用動画を作ってみると、求職者だけではなく社内でも反応が良くて、「こういうやり方もあるんだね」という空気が生まれました。そこで、採用だけじゃなくて、広報や顧客向けの発信にも広げられるんじゃないかと考えるようになったんです。
  • それがポッドキャストだったんですよね。
  • でも、実際にやってみれば価値は伝わるという感覚があったので、まずはできる範囲でスタートしました。実際に発信を続けていく中で、社内の反応やお客様の反応が見えてきて、少しずつ理解が広がっていったという感じです。
  • まずは小さく始めて、成果で見せていったと。
  • そうですね。ポッドキャストをやっている本人たちが楽しんでいることや、受け手に受け入れられていることが伝われば、それだけでも十分意味があると思っています。
  • このポッドキャストの存在感は、単なる広報って一言じゃなくて、事業を言語化するとか、顧客との接点を持ち続けるコミュニケーションツールとか、いろんな側面がある気がしています。
  • そうですね。そもそも坂本会計って、年間10〜20%ぐらいの成長率で15年ぐらい来ているんですよ。全体の成長率に対する不満はなかったんですけど、僕が今伸ばしたい「経営コンパス*」は、5年で5倍にしたいと思っていたんです。そうなると、今のお客様に対して地道にプレゼンして成約していくやり方では、多分届かない。だから成長のためのドライバーが必要だと思ったんですよ。
  • しかも自分たちから話していくやり方だと、限界があるし続かないし機会損失もある。サービスをやってる本人じゃないと実感を持って伝えられないし、お客様とはほぼ1対1なので、この場の空気感を伝えるのも守秘義務を考えると難しい。だったら、打ち合わせを疑似体験できるとか、僕のキャラクターが伝わる形での発信が必要なんじゃないかと。そのためにこのポッドキャストが必要だったんです。

事業をどう伸ばすか

  • 実際、事業を伸ばす意味でポッドキャストを始めたということで。今どれぐらいのお客様が呉屋さんのことを知っているんですか?
  • 会社としてのお客様は500件ぐらいあるんですけど、僕自身だけでも200件以上はあると思いますね。20年ぐらいいて、過去に担当してたお客様もいますし、営業時にタッチしてるところもありますからね。
  • 経営コンパスの契約状況は、1年前だとどれぐらいだったんですか?
  • そのころの契約数は20件ちょっとですね。
  • 呉屋さんの稼働できる限界点はどれぐらいなんですか?50社は無理ですか?
  • そんなにはいけないですね。1日で3件か4件ぐらいが上限です。それ以上やると営業活動する時間がなくなる。だから、具体的に話を聞きたい人には優先して時間を作るけど、「伝える」ための時間は限定的になってしまいますね。
  • 新規のアポを取るとかも難しいですよね。しかも、件数だけじゃなく単価の問題もありますよね。
  • 僕らのサービスは税務会計システムを導入していただいた中で経営的なコンサルティングを兼ねているので、コンサル単体の会社と比べると、時間単価ではだいぶ割安なサービスなんです。
  • だから、経営コンパスと同じ名前のポッドキャストを、サービスを提供している本人たちが出る形で始めたわけですね。
  • そうですね。最初の数回配信したあと、周りから「この内容で聴く人いるの?」って辛辣な意見ももらいました。でも、やっている立場からすると、なんとなく「いや、これ絶対いけるでしょ」と思っていたんです。
  • 二宮さんがやっている番組もいろいろ聴いていたので、「最後はあのクオリティまで行くんでしょ」っていう信頼感もありました。
  • 僕は正直、最初はちょっと不安でした。「サービスを伸ばす」という結構シビアなテーマだったので。最初のころは、僕が出すぎた問題もあって「二宮さん、なんでこんなに喋ってるんですか?」みたいな話もありましたし。なので一回ちゃんと説明しましたよね。
  • ありましたね。「二宮さんは聞き手じゃない、一緒にやる人です」って。今となっては「一緒に登って撮ってくれてる」感じです。僕らはその分、力強く登るシーンを見せなきゃいけませんね。
  • 振り返ると、呉屋さんが信じてくれたから始められたんだなと思っています。

ポッドキャストの成果

  • このポッドキャストは、実際どんな成果につながっているんですか?
  • 今まで、計画だけ2回作って、その後の年間のサービス利用までは至っていなかったお客様がいたんです。毎回「新たな学びがある」と言ってくれていたので、手応えがあったんです。もちろん僕としては「年間契約して、モニタリングまで一緒にやりましょう」と、毎回かなり熱量高く提案していたんです。
  • でもその方は「これ多分自分でできる。組み方が分からないから一緒に作ってもらうのはありがたいけど、やるのは俺の仕事だから」と。
  • なるほど。
  • そして、今回計画を作った後に、「もう1回決算を挟んだ後に、今日立てた計画の見直しがしたい。年間(契約)やりますよ。」って言ってくれたんです。
  • それは嬉しいですね。
  • 理由は教えてくれなかったんですけど、契約に至った理由がポッドキャストしかないんです。だからこれは、ポッドキャストによってファンができて、伝わるものがあった結果だと思っています。
  • でも、ポッドキャストって難しいのは、効果が出るまで時間がかかることですよね。呉屋さんはお客さんに直接「どうでしたか」と聞けるけど、多くの人は送って終わりになってしまう。そこで「効果がよく分からない」とやめてしまうケースが多いんですよね。
  • でも、ファンって意外と見えないところで数字として積み上がってるんですよ。地道に誰かの心に残り続ける発信って、絶対5年後ぐらいにすごく大きな差になると思うんです。
株式会社坂本会計 呉屋さんと二宮の対談の様子2

人から生まれる信用こそサービス拡大の軸

  • しかも、顧問サービスとかコンサルティングって、結局は信用でしか契約できないものですよね。物を買うのとは違って、ずっと関係が続くし、好きな人にお願いするじゃないですか。どれだけ経歴がすごくても、突然打ち合わせに現れて優秀なことを言われても、相性ってありますよね。
  • そうですね。そこを埋めるのがポッドキャストで、声を通じて人柄とか雰囲気が伝わるから、ファン作りには絶対効果があると思うんです。
  • 直接会ったことがない人でも、知っている状態が作れる。チャンネルを見つけて聴いて、ファンになってくれたら、その先でサービス理解までいける。そこまで行けたら、事業の成長目標の5倍に届くと思ってるんです。
  • しかも、ファン化して契約に至ると場合によっては単価も上げていけるでしょうし、呉屋さんに関心を持って、その周辺の人たちにも興味が広がる可能性がある。 だから今、大事なのは呉屋さんのIP*を上げることだと思っています。キャラクターとか個性ですね。

*(経営者の)IP:自身の価値観・想い・経験を継続的に発信し、「この人だから信頼できる・任せたい」と認知・ブランド化された個人(キャラクター)の状態を指す。

  • 確かに。サービス名より、まず個人名が立っている方が多いですね。
  • ゆくゆくは、呉屋さんが次のパーソナリティとしてお客様のポッドキャストを一緒にやったらいいと思ってるんです。人で売らないと伸び切らないサービスってあるじゃないですか。そういう会社さんを伸ばす時に、坂本会計で使ってきたこのポッドキャストの手法や戦略を、今度はその会社さんに応用して、広報も一緒にやる、経営者のIPを上げる、それもサービスになると思うんです。
  • 面白いですね。ただ、そのためにも、まずは僕らがちゃんと効果を出さないと説得力が出ないですね。実際、経営コンパスをきっかけに、自分でポッドキャストを始めちゃったお客様もいるんですよ。
  • そういう先も見ながら、このポッドキャストをどう活用していくかですね。
  • 今の段階でも、個人的な実感とか、言語化の副次的効果はめちゃめちゃ感じています。楽しんでできてるし、やりながら成長している自分も感じています。
  • 半年やってみて、再生数や契約だけじゃなくて、言語化、信頼形成、サービス資産化、個人の成長まで全部つながってきた感じですね。すごく学びのある振り返りでした。
株式会社坂本会計 呉屋さんと二宮の対談の様子3