これまで著者を支える編集者として活動してきた小早川さんが、経営者として自ら発信するメディアとして選んだのがポッドキャストでした。今回はクロスメディアグループ代表の小早川さんに、リクライブ編集長・二宮がインタビュー。ポッドキャストを始めた背景から、発信を続けることで見えてきた採用やブランディングの変化を振り返ります。
| 社名 |
クロスメディアグループ株式会社 |
| 支援内容 |
ポッドキャスト/企業広報メディアサイト制作/広報動画制作 |
| 地域 |
東京 |
| 業界 |
出版事業、マーケティング事業など |
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小早川さん(クロスメディアグループ株式会社 代表取締役)
1975年、千葉県生まれ。ビジネス書編集者として30年のキャリアを持ち、2005年にクロスメディア・パブリッシングを創業。年間100冊規模の出版事業に加え、編集力を活かしたビジネスコンテンツの企画・運用も手がける。編集者でありながら、経営者として自らの言葉で語るPodcast「編集者で経営者」を2年前からスタート。
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二宮(リクライブ編集長)
デザイン系の大学を卒業後、デザイン事務所、ブランディング会社でデザイナー・ディレクター・役員の経験を積む。2020年からリクライブの立ち上げに携わり、リクライブ責任者に就任。2年で450本以上の採用動画制作に関わり、動画のMCとして企業の魅力を引き出すことが強み。
- 今日は「なぜ経営者がポッドキャストを始めるのか」というテーマで伺いたいです。まず小早川さんご自身が、どんな立場で、どんな番組をやっているのか教えてください。
- クロスメディアグループ株式会社の代表をしています。僕はですね、30年ビジネス書の編集者をやってきて、2005年にクロスメディアパブリッシングという出版社を起業しました。なので、編集者としての顔もあるし、経営者としての顔もあるんですよね。
- ポッドキャストは「編集者で経営者」という番組を2年前から始めました。編集者として考えていることだったり、ベンチャーの経営者として思っていることだったり、そういうことを自分の言葉で話す場としてやっています。
- 小早川さんは長く編集者としてやってこられたわけですけど、そもそも、なぜご自身が前に出て話そうと思ったんですか。
- 編集者って、著者の方を前に出す仕事じゃないですか。だから、自分が目立つ必要って別にないなって、ずっと思ってたんですよね。会社を作ってからも、経営者として発信しようっていう感じはなかったです。
- あと、目立ってもあまりいいことはないじゃないですか。前はそんなふうに思ってたんです。別に悪いことしてるわけじゃないんですけど、なんとなく前に出ることに対して、あんまり積極的ではなかったんですよね。
- ポッドキャストを始める前、「自分はあんまり目立つタイプではない」と小早川さんが言っていたことを僕も覚えています。
- でも、会社がある程度の規模になってくると、やっぱり経営者が表に出て、自社の魅力を伝えていかないと、これ以上は大きくならないかなって思うようになりました。広報のメンバーからも「出てください、出てください」ってずっと言われてましたしね。
やっぱり創業経営者って、会社の中で一番の情報発信のソースなんですよ。そのソースが表に出ないまま広報だけで頑張るって、結構しんどいなっていうのを見ていて感じたんです。だったら、自分がちゃんとソースになって情報発信していこうって思いました。
- もともと会社としては、出版やメディアを通じて情報発信はしていたわけですよね。その中で、あえてご自身でやる意味はどこにあったんでしょうか。
- 事業としてはずっと発信してたんですよ。出版もそうですし、メディアの仕事もしてるので。ただ、それ以外で自分がわざわざ何か発信するっていうのは、そんなにやりたいと思ってなかったんですよね。
ビジネス書の出版社として創業したクロスメディア・パブリッシングは、“働く人”に向け、書籍という媒体を通じて有益で最先端の情報を発信しています。
- でも、文章以外だったらやってもいいかなっていうのはありました。うち、社名もクロスメディアですし、テキストだけじゃなくて、映像とか音声とか、そういう別の手段にもチャレンジしてみようかなって。
- その中で、YouTubeってなると、やっぱり見た目とかいろいろ気にしないといけないじゃないですか。でもポッドキャストだと、そこまで格好を気にしなくていい。そういう気軽さがあったので、まずは音声から始めたっていう感じですね。
- 始める時点で、目的は明確でしたか?
- 大きく言うと、ブランディングですね。要は認知度を上げるっていうことです。ブランディングができると、マーケティング、つまり見込み客の獲得にもつながるし、リクルーティング、人材採用にも効いてくるんですよね。
- なので、経営者として自分の考えとか経営哲学を発信することで、会社のブランドを作っていく。その結果として、マーケティング力と採用力を高めていく。そういう目的で始めました。
- 実際、やってみて手応えはありましたか?
- かなりありましたね。特に採用の効果は大きかったです。今は大手のナビサイトでの採用広告は一切やめて、オウンドメディアリクルーティング一本でやってます。
- 面接に来る方って、かなりの確率でポッドキャストを聞いてくれてるんですよ。会社に興味を持ってくれて、僕の経営哲学みたいなものも理解した上で来てくれる。だから、最初から土台ができてる感じなんですよね。
- 聴いてくれている実感があるのは嬉しいですね。
- 聴いてない人を落としてるっていう感覚ではないんですけど、結果的に採用している人はほぼ100%、ポッドキャストを聞いて面接に来てくれています。この2年で30名くらい採用してるんですけど、離職はほぼゼロですね。ミスマッチが本当になくなりました。
- それはすごいですね。ポッドキャストが採用の量だけじゃなくて、質にも効いている感じですね。
- そうですね。経営者が自分の言葉で考えを発信するって、採用の数を増やすというより、ミスマッチをなくす効果がすごく大きいと思います。面接の短い時間だけでは伝えきれないことってあるじゃないですか。でも、音声ってその人の考え方とか温度感が伝わるので、かなり相性がいいなと思います。
- 長い間、発信してこなかった小早川さんが、実際に始めてみて、ご自身の中で変わったことってありますか。
- ありますね。前は、目立つことってあんまりいいことないなって思ってたんですけど、今ってやっぱりアテンションエコノミー*じゃないですか。どれだけ注目されるかっていうことが、事業の成長とか拡大にかなり影響する時代だなっていうのを、すごく痛感したんですよね。
- アテンション・エコノミー*:情報があふれる社会で、情報そのものよりも「人々の関心や注目」が価値を持ち、経済活動の重要な資源になるという考え方。
- 今まで僕、自分の著者とかクライアントには「もっと出た方がいいですよ」「もっと目立った方がいいですよ」って散々言ってきたんです。でも、自分はそこを避けてた。だけど、自社の成長を考えた時に、やっぱり自分もやらないとダメだなって思いました。
- あと、やる前はちょっと抵抗があったんですけど、やってみたら、やったで楽しいんですよね。そこは結構大きかったです。
- 楽しい、ですか。
- そうなんですよ。人生がネタ探しになるんですよね。今までも編集者として企画を探してきた人生ではあったんですけど、自分自身がコンテンツの発信源になると、また違う意味でネタ探しが始まるんです。
- 何か出来事があると、「これ話せるな」とか「これはどういうテーマにできるかな」とか考えるようになる。そうすると、日々の見え方が変わるんですよ。人生がちょっと楽しくなるっていうか、面白くなる感じがありますね。
- 発信することで、自分自身の思考も動き続けるようになるんですね。
- そうですね。やっぱり同じことばっかり話しててもしょうがないので、自分自身も考え方をアップデートしていかないといけない。そういう意識も自然と出てきますし、話すことで自分の考えも整理されるんですよね。だから、単に外に向けて発信しているようでいて、実は自分の中の整理にもなってる。
広報担当の濱中さんとポッドキャストを配信する小早川さん。2025年10月で開始から2年が経ち、ビデオPodcastにも挑戦しています。
経営者はポッドキャストをやる価値は十分あるのではないか。
- 最後に、経営者はポッドキャストをやるべきか。この問いに対しては、どう考えていますか。
- やるべきとまでは言い切れないですけど、やることで得られるメリットはかなり大きいと思います。しかも、ポッドキャストって手軽に始められるじゃないですか。だから、まずはチャレンジしてみるのがいいんじゃないかなと思いますね。
- 自分の考えを言葉にして発信することで、ブランディングにもなるし、採用にも効くし、会社の成長にもつながる。しかも、やってみると自分自身の変化もあるんですよね。そういう意味では、経営者がやってみる価値は十分あると思います。
- 経営者が発信する価値、伝わってきました。
今日はお話聞かせていただきありがとうございました!
小早川さんと一緒にポッドキャストでお話しする広報担当の濱中さん(右)。2周年を記念してリクライブから特大ポスターをプレゼント。